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自分が何をしたいのか、何をやり遂げたいのかが一番大事
好きな歴史上の人物を教えてください
西郷隆盛

(薩摩藩の下級武士であったが、藩主島津斉彬に抜擢され江戸に出る。薩摩藩代表として対立していた長州藩と薩長同盟を結び倒幕運動の中心人物となる。西南戦争で大将として戦うも敗戦、城山にて自殺。)

歴史は好きなので好きな人物はたくさんいるんですが、こうなれたらな、というところで選ぶと西郷隆盛かな。周囲からの信望が一番厚かった人なんじゃないかなと。いくら正しいことや良いことを言っても、信頼や信望がなかったら誰も応えないし誰もついてこないと思うんですね。「この人が言うのなら」と思われるような人になることが大事。坂本竜馬が彼を「小さく叩けば小さく響き、大きく叩けば大きく響く鐘のようだ」と評していますが、それだけ器の大きな人なんだと思います。また、自分は賊名を負っても命を賭けてまわりに尽くして死んでいったというその散り際にも惹かれます。英雄ではあったけれども、出世して栄誉を得るって生き方ではなかったですよね。でも信望を得て、それに応えて死んだ。なかなかできないと思うけれど、だからこそえらい。すごいと思います。
座右の書・感銘を受けた本を教えてください
竜馬がゆく

司馬遼太郎著

司馬遼太郎が好きで、その中でもこれと『坂の上の雲』の二冊は特に感動しました。学生のときと創業してからと、2回ずつ読んだんですが、全く見方・感動の仕方が違いましたね。学生の時はサクセスストーリーというか、竜馬の成長過程がすごく刺激的でした。創業した後に読んだ時には、竜馬の「世に生を得るは事を成すにあり」という言葉に特に感銘を受けました。事というのは仕事のことです。この世に生まれて、自分の仕事で何か世の中に大きな影響を残すことの偉大さというか、やりがいというか、そういうものが強く感じられました。一介の下級武士に生まれても、志を持って生きることで、周りに影響を与え、ついには一事を成すこともできる。“どれだけ強い信念を持って生きるか”ということがどれだけ重要なのか、というのが面白おかしく読めてしまう、そんな本ですね。
習慣としていることを教えてください
キレないようにする、怒るときは考えてからにする
昔はよくキレてましたからね。でも感情的になるよりは、もうちょっと物事を理解して、的確に判断しないといけないなあと思うようになりました。あるとき、アルバイトの子が勤務中に座って英語の勉強をしていたんです。その日はお店がひっくり返るくらい忙しかったんですが、その子は裏方の仕事なんですね。試験勉強でもしてるんだろうと思って、「何をしてんねや!」とむちゃくちゃ怒りました。でもそれは実は英語メニューを考えて欲しいと頼まれたらしく、その制作中だったんです。後からそれを聞いて、その子には平謝りでした。ほんとにバツが悪いというか…。厳しく言うこと自体は必要な時もありますが、そこに自分の機嫌の悪さとか、気に入らないことがあるとか、個人的な感情が混じってしまうと、結局後悔というか嫌な思いが残るので、そうはならないようにしようと心がけているんです。
生き方・考え方に影響を与えていると思う出会い、言葉を教えてください
商売でやったのでない、自分も若いころ助けてもらったことがあるからだ

2店舗目の出店時、窮地に立たされた時に恩人から言われた言葉

木屋町に出店する際、その建物が法令違反でそのままではオープンできないという状況になったんですね。それを、設計事務所の方で既に現役を引退されていた方に助けて頂いたんです。顔を真っ青にして悩んでいる僕の話を聞いて頂いて、「どうしようとか言ってるんじゃなくて、まず自分のできることを必死にやりなさい」と。その動き方をご指導頂いて、動いている間にいろいろと対処もしてくださって、なんとかオープンにこぎつけることが出来ました。実務的にも精神的にもお世話になって、一段落したときにお礼を申し出たんですが、そのときに言われたのがこの言葉です。自分も昔追い詰められたときに助けてもらったことがあると。その恩返しと思ってやったんだと。自分もいつかこのお礼を次の世代の人にしていきたいと思いましたし、つい私利私欲に走りそうになる自分を戒めなければとも考えるようになりました。この時の経験がうちの経営理念である「幸せ創造企業」の根本になっているんです。
最後に京都という地で事業を展開してよかったこと、大変だったことを教えてください
食に対しての意識が高く、良いものに対しては正当な評価がしていただける
京都ではもともと、食に関して長く深い歴史・文化・伝統があります。“良いものは高くて当たり前”という意識があると思うんですね。高品質の牛肉需要が多い土地で、僕らがそれをリーズナブルな値段にしているという経営努力をちゃんと評価してもらえる土壌があります。それは良かったなあと思っています。地方によっては、それでも安い輸入肉に押されて和牛がなかなか普及しないのが現状ですから。
うちでは国産牛肉の生産農家、野菜の生産農家の人たちから直接仕入れをしていて、効率的でない面も多いんですが、やっぱりおいしさや安全、安心をとことん追求したい。それは昔は当たり前なことだったわけで、作る人・提供する人・食べる人、食に関わる人全ての間にひとつの大きな信頼関係がありました。僕はその信頼関係をもう一度構築したいんです。それによって誰もが豊かな食文化を享受できるような、ひとつの文化を再生することができたらなあと。僕が生きていく上で、そういう一事を成したいと思っています。
    
(記載内容は2007年10月時点における情報です)