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‘縁’を大切にする気持ちが新たなチャンスを生んでいく
好きな歴史上の人物を教えてください
徳川家康

(戦国・安土桃山時代の武将。三河国岡崎に生まれ、幼少期は人質として苦渋の時代を過ごす。織田信長、豊臣秀吉の後を受け、天下の覇権を掛けた関ヶ原の戦いで勝利。征夷大将軍に任ぜられ、江戸幕府を開いた。)

江戸幕府300年という永く大きな時代の礎を作った人。「泣かぬなら泣くまで待とうほととぎす」と言われるように、小さな頃から人質生活を送り続けて、成人後は織田信長、豊臣秀吉と一緒に天下統一への道を歩みながら、自身が天下人となるまではじっと我慢をし続けた忍耐の人、というイメージがありますよね。でも同時に彼は稀代の策略家でもあったんです。ただ待っていたわけじゃない。何もしないで天下人にはなれないですよね。例えば秀吉の死後、その正室の北の政所を味方に引き入れたことが関ヶ原での勝利に繋がったように、大きな戦略を持った上で、その時々の状況を見極めながら次に繋がる確実な布石を打っていったわけです。僕も杜若園芸を大きくしたいし、出来る限り永続させていきたい。そのために今何をすべきかと考えるときに、経営者として学ぶべきところの多い武将ですね。
座右の書・感銘を受けた本を教えてください
生き方

稲盛和夫著

人として、経営者として、考え方の部分で感銘を受けるところの多い本ですね。例えば思いは実現する、ということ。漠然と「そうできればいいな」という生半可なレベルじゃなく、強烈な願望として、寝ても覚めても四六時中そのことを思い続け、考え抜く。実現を信じて前向きに努力を重ねていくことが人生においても経営においても目標を達成する唯一の方法なんだ、ということなどが書かれています。また稲盛さんは、事業の利益は私物じゃなく一時の預かりもので、だから社会貢献に使え、とおっしゃっています。納得のいく考え方がたくさんあって、そのとおりだなあと思うのですが、稲盛さんのすごいところはそれが精神論で終わっていないところ。京セラで成功しただけでなく、実際に私財を投じて財団を作り、「京都賞」を創設するなど、この本で書かれていることは自ら実践されてきたことなんですよね。僕も、大きく社会貢献のできる有言実行の経営者でありたい。そう真剣に言える勇気をくれる一冊です。
習慣としていることを教えてください
常に前向きに考えること
これは性格なのかもしれないけど、どんな時でも前向きでいようと思ってるんです。苦労を苦労と思わず、全てをプラスに捉えていけばそれが必ず成功へのプロセスになる。
法人化する前のことなんですが、カキツバタの栽培規模を大幅に拡大して、販路も全国の小売店や卸売市場、華道の家元にまで広げた結果、売上が倍増しました。ところが生け花人口の減少ということもあり、そのうちだんだんと需要が減ってきて、価格まで下がるようになってきたんです。かといって急に全く違うことができるわけはなく、そのままではどう考えても先細って行くしかないという状況でした。でも悲壮感は無かった。絶対に道は開けるという信念のようなものが僕の中にあるんです。よし、じゃあどうしよう、と前向きに考え続けているうちに、ある大学教授の先生と出会い、その時の話がヒントになって事業の可能性が大きく開けました。「ダメなんじゃないか」と考えるのではなく「どうやったら上手くいくだろう」と前向きに考えていければ、どこかに糸口はあるものなんですよね。
生き方・考え方に影響を与えていると思う出会い、言葉を教えてください
これまでの人生における全ての出会い
人との縁が力になるんだと思ってます。先ほどの大学教授との出会いなんて本当にそう。うちが水生植物専門会社として大きく飛躍する最初のきっかけです。池や川などに水生植物を植えて、メダカや昆虫が生息できるような自然環境を再現する「水辺緑化」という分野があって、日本でこの分野を専門的にやっている会社はないということでした。それまで園芸の世界では、水生植物はひとつのカテゴリとして捉えられていませんでしたが、環境問題を考えても、きっとこれからの時代に受け入れられるはずだ、これはチャンスだと思って、水生植物に特化して大きく取り組むようになったんです。あの出会いが今の杜若園芸に繋がっているし、僕の人生の大きなターニングポイントになりました。そこから、首相官邸や京都迎賓館の水辺監修だとか、本の出版だとか、TVや雑誌に取り上げられるなど、縁が縁を呼んで事業のチャンスやアイデアが次々に生まれてくる。今では「ウォーターガーデニング」「ビオトープ」といった言葉も知られるようになってきましたし、水生植物の可能性はどんどん広がっています。こうした出会いがある度に、一つ一つの縁を大切にしなきゃな、と痛感します。
最後に京都という地で事業を展開してよかったこと、大変だったことを教えてください
お客様に良いイメージで見てもらえる
京都といえば平安時代からの歴史と伝統、寺社仏閣や町並みの美しさといったところで、特に他府県の方からは良いイメージを持っていただけます。好意を持ってもらいやすいわけで、それはビジネスには有利ですよね。それとは別に、京都といいますか、城陽という地には感謝の気持ちが一杯あります。この土地はもともと地下水が豊富で、古くから湧水花卉(かき)栽培が盛んだったところです。その中で、うちも昔からハナショウブやカキツバタなどの生産技術を磨いてきました。そこで生まれ育ったからこそ今の僕がいるし、杜若園芸があります。胸をはって社会へ貢献していける事業を始めるきっかけを与えてくれたこの土地は、僕にとって親や恩人のようなものなんですよ。
※花卉…観賞用に栽培された植物。切り花や鉢物、苗物、敷物、盆栽などの総称。
(記載内容は2007年8月時点における情報です)