経営者の生き方から自分を活かす働き方発見・学びサイト「CEO-KYOTO」

未来へのシナリオを描き強く願い、行動する
大学卒業後、父の経営する日興染織に入社し、1年間製造現場にて経験を積む。バブル崩壊後の低迷期に生き残りをかけて委託染色加工業から服地メーカーへと業態転換を図る中、『お客様の立場で』をモットーに営業にまわり、多くのアパレルメーカーとの直接取引を実現させた。その後、営業部責任者、専務取締役を経て、2006年4月に代表取締役就任。品質にこだわり、スピードやサービスなどの付加価値を高めてブランド力を創造することで、社員がプライドを持って働き、顧客に選ばれる会社を目指す。

経営者を読み解く8つの質問

経営トップになってそれまでと変わったことは何ですか
割り切りと責任感

代表就任直後に長期借入金の保証人の名義変更をしたんですよ。書類にサインしながら、「これはエライことやな」と感じましたね。同時に「会社の業績が良くなるのも悪くなるのもトップの方針と行動次第」という割り切りと責任感がグッと変わりました。
それで、去年就任1年目にして新たに東京支店を開設して、設備も増やしました。ファッション業界は東京が中心ですから、ここは開き直って多めのお金を使っても地固めをしようと…。
あとは、社員に対する思いは、変わりますねえ。トップになる前は「一緒になって頑張って稼いで給料を上げていこう」という感じだったんですけど、今はもっとひとり一人の良いところを伸ばして働き甲斐を作ってあげたいな…と。だから、それぞれに責任を与えて、自分の会社のことを好きになる、プライドをもって仕事に望める…そんな働く満足感を上げていきたいと、身に染みて思うようになりました。

もし、経営者になっていなかったらどんなお仕事をされていますか
モータージャーナリスト
車が好きなんです。自動車雑誌を読んだりしてね。当然今の仕事であるファッションも好きですけど、いわゆる趣味を活かした仕事に携われたら良いなと思います。
とは言っても、『もし、経営者になっていなかったら…』という質問はあまりピンと来ないんですね。小さい頃は自宅の横に会社があって、社長である父の背中を見ながら育ちましたし、学生時代からファッションの本場であるヨーロッパに連れて行ってもらったりしていましたから、他の道に行きたいという思いが無かった。
父の怖さ、厳しさを感じながら、一方で組織のトップであり、社員を率いるリーダーの姿に憧れていました。だから、今こうして経営者として自分がいることに対して、非常に感謝しているというのが本当のところですね。
好きな言葉・座右の銘を教えてください
お客様の立場で
以前、ウチはテキスタイルメーカーではなく加工業だったんです。テキスタイル商社にデザインと生地をもらって指示通りに染める。今はデザインの企画から生地の仕入れ、染色…つまりアパレルメーカーに直販するまでの全てを自社でやっています。
この転換は業界では異例のこと。当時社内でも「それは無理やろう」という雰囲気でした。実際売上も半分近くに落ち込みましたし。それでも神戸の大手アパレルメーカーからの小さな仕事に始まり、社員みんなの地道な努力で7年かけて年商1000億円以上の企業群と堂々と商売できるようになったんです。
今ではこだわりを持って仕事をされている有名ブランドのデザイナーに直接「何とかこんな服地が作れないか」と相談される。それは嬉しいことでもあるし、やはり「何とかしてあげたい」と自然に顧客第一というスタイルになってきました。
バブル期、商社を通じて仕事をしていた時代は『手間をかけずこちらのペースで仕事を取れる』のがカッコいい営業とされていたのが、『お客さんの求めるものを作るために、手間をかけよう』というスタイルになってきたと思いますね。