経営者の生き方から自分を活かす働き方発見・学びサイト「CEO-KYOTO」

いつも2割は遊び心 それが面白いモノを生む
好きな歴史上の人物を教えてください
真田昌幸

(戦国武将 三途の川の渡し賃である「六文銭」の旗印を掲げ、次男幸村とともに家康を恐れさせた知将。秀吉から「表裏比興の者」と評され、家康からは「希代の横着者」と非難される。『関ヶ原の戦』において、長男信幸は東軍、次男幸村は西軍についた)

我を張り通して誰かを切り捨てるんじゃなく、周囲の人たちの生き方も尊重した上で、自分の筋も通して責任を取るという配慮はちょっと面白いと思う。例えば、ウチのように10人くらいの規模でワンマン経営したとして、「これはおかしいな」って方向に行った時に誰も「それはあかんわ社長」って言えない会社ってうまく行くやろか?アンテナは一人で張ってても仕方なくて、ウチは10人の社員がいるから、それぞれが好きなことやってたら10個の方向があるでしょ。それをかしこまらずに話せる環境を作ったらいい。1年目なり、10年目なりのそれぞれの立場で考えた「ベストやと思う」という意見を上下関係なく話せる方が事がうまく進む。そんな風に考えると、歴史上の人物で「みんなの意見を聞いて何とかやりますよ」って人はあまりいないでしょ。だからまあ一番面白いのは真田昌幸かな。
座右の書・感銘を受けた本を教えてください
男組

原作 雁屋哲 作画 池上遼一

信念を貫く真の男に、強い奴らがついていく。戦いの中で本物の友情が芽生え、善が悪を倒す。中学の時に「こんなんありえへん」と思いながらも、ドキドキしながら読んだ学園漫画。例えば『嘘ついたり適当にごまかしたりするとその尻拭いに費やす能力の方がもっと大変。エエカッコするために嘘を積み重ねることはすごくカッコ悪い』そんなことを教えてくれた漫画やね。
例えば、昔の業界では当たり前になっていた接待やバックマージンを渡すようなことも僕の代になってからは一切止めた。それで仕事をもらって、もしいいモンが出来ても「接待で取ったんや」って言われたら腹立つしね。接待するために商品価格を上げんとやって行けないとか、経費を抑えなあかんとか、そんなん何のこっちゃわからん。本末転倒。最初は大変やったけど、今ではお客さんにも浸透したし、それでも仕事依頼は来るから。
この漫画は今でもときどき読み返すよ。ストーリーは単純やけれど、今これほどのスケールで書いている漫画ってないんちゃうかな?

習慣としていることを教えてください
習慣は敢えてつくらない
自分の中で何か習慣づけると、固定観念ができあがってしまう。ある枠を決めて、一方向からしかみなくなってしまう。だからね、ウチは会社の携帯電話もないし、タイムカードも無い。好きな時間に来て、好きな時間に帰る。会議も無い。ミーティングも必要に応じて。守るのは決められた納期だけ。大人なんやから自由。朝11時に来ようが、夜中の3時まで働こうがかまわない。新入社員には「ほんまにいいんですか?」っていつも言われるけど、自分がやりたいこと、作りたいモン作るのに時間の制約って邪魔でしょ。朝9時に来て5時に帰ってもいいモンが出来るわけじゃない。僕らが扱っているのは広告なんやから。
生き方・考え方に影響を与えていると思う出会い、言葉を教えてください
親父、妻
親父はデザイナーで、社員とは完全な師弟関係やった。一応会社ではあったけれど、親父の個人事務所のようにやっていたから、休みもない、社会保険も加入しないという状態やったね。だから引き継いだ当初は、僕も社員も休むことに対して罪悪感を覚えていた。そんな時に真っ向から社員の権利を主張してきたのが妻。最初は腹も立ってよくぶつかったけれど、それでも少しずつ保障関係を整えていけた。 僕はデザイナーじゃないから親父のように社員と師弟関係は結べないし、そのことで悩んだりもしたんやけど、妻との話の中で「経営者とスタッフとしてどう関係を結ぶのか」ということを考えだした。だから、会社としてきちんとした形に出来たのは多分、妻の影響。でもその中身がフランクで、エエ意味でいい加減なのは、親父の影響やろうね。
最後に京都という地で事業を展開してよかったこと、大変だったことを教えてください
新しいものに敏感 競合が同じ土俵で切磋琢磨できる環境がある
京都の会社はね、例え低価格高品質短納期であっても、今までの取引先と同じものしかできないなら、乗り換えてくれることは絶対に無い。下手をすると今までの業者の下請けにされてしまう。ただ、それまでにない新しい手法を取り入れると、聞く耳を持って比較検討してくれるんやね。つまり、同じ土俵の上で競合同士が切磋琢磨できる。これが東京やと同じ土俵に立たすまでもなく乗り換えられたりするんやけど。スタッフを何百人、何千人と抱える広告代理店や大手印刷会社とウチが同じ土俵に立たせてもらって、たまにコンペで勝つ。そんな風やから、京都は面白いのかもしれない。
(記載内容は2007年3月時点における情報です)