経営者の生き方から自分を活かす働き方発見・学びサイト「CEO-KYOTO」

常識や分野、領域より先に本質的にどうあるべきか考える
自宅にあったコンピュータを触り始めたのは、小学校高学年。自分でプログラムを作るなど、まさにおもちゃの様に身近な存在だった。高校生で出合った「TRONを創る」という本にも影響を受け、ソフトウェアとハードウェアの両方を勉強するために大学へ。こう聞くとまるでコンピュータ漬けの日々を送っていたかのようだが、「孫子」やアメリカのダーウィニズム(進化生物学者)であるスティーヴン・J・グールドの著作「フラミンゴの微笑」に親しむなど、興味の幅は自由自在。ソフトウェア開発企業勤務時に経営者の在り方を考えた末、仲間5人と2006年2月、EASIZEを創業。1年半後には自社開発製品をファーストリリース。技術と一般ユーザーを橋渡しするのが技術者のテクニックであると考える。クラシックからロックまで、幅広いジャンルの音楽にも精通。「ジャンルをつくること自体、間違っているんでしょうね」と笑うその目は、世界を駆け巡る。

経営者を読み解く8つの質問

経営トップになってそれまでと変わったことは何ですか
責任感が大きくなり、経営理念が大事と痛感した
ガラッと変わりました。起業する前、従業員だった時は変な言い方ですけど何も考えていませんでした。確かに自分が給料以上の仕事をして、儲けて、利益を上げて、それでみんなが食べていくという意識はありましたが、そこまで。「自分ひとり」と「その他」としか見てないわけです。しかし、独立したら給料払ってくれる人がいなくなるわけですから。そこでどうやって自分が食っていくか、全員がどうやって食っていくか、そこの差は歴然ですね。また方針や理念は絶対に大切です。特に大きな会社ではなく小さな会社であればあるほど、トップの考えが明確に出てこないと求心力が生まれない。実際のところ、現場の社員は社長を食わすためだけに自分らは働いているんじゃないかと思いを描く瞬間があるんです。そんな時に違うよと、示して欲しいんです。こういうことをいついつまでにやる、やろうとしている。それが出来るかどうかではなくて、やろうとしているかどうか。しっかり考えているっていうのを明確に提示する必要があると思うんです。
もし、経営者になっていなかったらどんなお仕事をされていますか
技術者を続けていた
やっぱり技術の探求は面白いですからね。例えば何かを作ったとするじゃないですか。その時はすごくいいと思ったとしても、その仕事が終わり半年とか経ってしまうと、「ここ直したいなあ」という箇所が必ず出てくる。自分のやった評価をするのは自分ではなくて、誰か他の人。しかもそれは「今」評価するのではなくて、未来のどこかの時点で、誰かが評価をするわけですよね。なので、あまり自分で「これは凄くいいねん」というのはないです。もともと何かひっかかりがあれば明確にしたい、解決したいと思うタイプですから、何かを見つけては更なる改善を図っていく、そのこと事態が好きなんでしょうね。
好きな言葉・座右の銘を教えてください
其の必ず趨く所に出で、其の意わざる所に趨き

孫子

孫子の第六編の虚実編にある言葉で、これは相手が攻めに行く所は先回りをし、食い止めなさい。また相手が思っていない所にいき、意表をつける側面や後ろからの攻撃をしなさい。相手の弱いところを攻めれば、必ず勝てるという意味の言葉です。特にビジネスの中では製品を作ったりする時、みんなが思っていることをやってもダメ。みんなが考えてないことで今後ブレイクしそうなこと、もしくはブレイクさせられる様なところに攻めにいかないといけない。経営者となった今、何かを考えたり、何かを決定したりする瞬間というのは、ほぼ毎日あります。何かを決めるということは、いくつかの選択肢がある中で決めないといけない。決めるには判断基準が必要で、その判断基準をどこにどう持っていくか。その1つの指針として、孫子を折りに触れて読み返しています。