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百人一首の世界を堪能できるテーマパーク「時雨殿」−Forbes日本語版 4月号

寺社仏閣が点在する京都・嵐山に、小倉百人一首をテーマにした
展示館「時雨殿」が2006年1月からオープンしている。
時雨殿を懐に抱く小倉山は、藤原定家が撰集した
小倉百人一首の発祥の地として知られる。
この施設は、京都商工会議所の創立120周年記念事業として
小倉百人一首文化財団が設立したものだが、総工費21億円は
同財団の理事長を務めていた山内溥 任天堂相談役が個人で寄付したものだ。

55年にわたって任天堂の取締役を務めた山内相談役(2005年6月退任)は
祖父が花札メーカーとして設立した同社を、ゲーム機の代名詞となる大企業に
発展させた人物。だが、大手ゲーム機メーカーとしての地位を確立してかも
花札やトランプなどのカードゲーム事業を手放す事はなかった。

そんな山内氏が個人の寄付で設立されただけに
任天堂の技術と歴史が館内のいたるところに生かされている。
入館してすぐに渡される「時雨殿なび」と名づけられた
館内をナビゲートするニンテンドーDS改造端末
床に敷き詰められた45インチの液晶モニター70台を使った
「京都空中散歩」「大きい札」という二つのアトラクション
歴史上の歌人とかるた取り対戦をする「体感かるた五番勝負」
2階では小野小町などの歌人の人形が歌詠みに興じているなど。

京都というと観光都市としてだけがクローズアップされるが
ユニークな企業が数多く存在する街だ。
任天堂もそんな企業の一つだろう。
伝統産業からハイテク産業、ナショナル企業からベンチャー企業
数々のユニークな企業を生み出す京都はいわばマザーシティ。
灯台下暗しとは言わないが、京都を働く場所として
もう一度とらえ直す必要があるのではないか。